ひどいよ、すみれさん(1996)

鎌倉映画塾2年生のときのシナリオの先生は長尾啓司先生だった。

先生はとても厳しく、ぼろくそにけなすので、どんどん授業にでる人が少なくなっていき、6月になるころには40人のクラスで5人ほどしか出席しなくなる。

しかしここで残った5名ほどのものは熱狂的な長尾教の信者となり、「お前ら宗教か?」などと、シナリオのクラスから脱落したものたち(別の言い方をすればまっとうな人たち)からかわれた。

僕はもちろん長尾教信者の一人だった。

授業でも僕たちのシナリオを読んでくれる時も先生はつねに全力投球だった。自分の人生と照らし合わせてぼくらと闘ってくれた。

 

この作品は鎌倉映画塾の卒業制作に応募した。

返却されたとき長尾先生からの赤字でこう書かれていた。

 

「書くことと、書けてしまうことは違う。これは道の途中でできてしまったゴミクズだ」

 

もちろん悔しさもあったのだけれど、心の1割ぐらいのところでそういわれても仕方ないかな、とも思った。

たしかに全身全霊を込めて書いたものではなく、短時間でスラスラとやっつけてしまった作品だったもしれない。

 

今でも作品に取り組むときはいつもこの作品と長尾先生のことを思い出す。

そして自分に問いかける。

 

「僕はゴミクズを生み出してないだろうか?」


ひどいよすみれさん1

 

当時の原稿である。

赤字はもちろん長尾先生の直筆。(恥)

 

 

ひどいよすみれさん2

 

いま読み返して思うことは、今の感覚だったらこの主人公はもろストーカーである。

当時はそんな言葉はなくて、創作している時は純愛のつもりで書いていた。

 ひどいよすみれさん3

 

 

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